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メンタルヘルスケアサービス

『ストレスチェックとは ~その概要について~』

はじめに

現代社会が情報化時代と言われ始めてから久しい昨今、様々な科学的、社会的発展がなされている中で、“人の心”がこれらに追いつけない現実が我々自身の問題として表面化しています。すなわち自分が好むか好まざるかに関わらず、蔓延化する情報の大海の中に放り投げ出され、知らず知らずのうちにそれに翻弄されているということがそこに存在しているということです。我々は、それらを“ストレス”と名付け、これらをうまく処理できればよいのですが、いつしかストレスに自分自身の心や体を蝕まれてしまうこともあります。すなわち目に見えない“ストレス”は、何時しか「抑うつ」や「不安」といった心的症状を生じる誘因となりえます。加えて時にそれは動悸や頭痛などの身体症状までも引き起こすことがあります。

現在行われている職場健康診断において大きな異常も認めなかったのに最近何となく調子が悪い。一見大したことはないだろうと様子を見てしまうようなところに、“ストレス”による心的・身体的症状が隠れていることがあるかもしれません。もう少しこの調子の悪さについて具体的に挙げてみます。


ふとしたときに気分が落ち込み、何もしたくないような気持ちになる。
以前は楽しいと感じたことに、全く楽しみを感じなくなっている。
朝、目が覚めてもなかなか寝床から抜け出せない。
目がさめても寝た気がせず、午前中は気怠い症状が続く。
突然、前触れもなく心配事が心をよぎるようになった。
知り合いが病気で倒れたことを知ってから、自分もそうなるかもしれないと心配でたまらない。
最近前触れもなく、以下に挙げるような症状が出現している。
a)身体の痛み(頭痛・背部痛・腰痛・手足の痛み)
b)めまい・耳鳴り
c)味覚障害・のどの痞(つか)えた感覚
d)動悸・呼吸困難
e)胃腸症状(胃痛・嘔気・下痢・便秘)
f)しびれ(手足)
g)排尿困難や頻尿

上記の症状のいずれかに当てはまる場合、⑦については器質的な疾患(すなわち臓器障害を伴った疾病)を除外する必要はありますが、それらが認められない場合には「こころの風邪」による症状である可能性も考慮されるべきと思われます。

多くの場合、日常生活においてこれらの症状が軽ければ、様子をみてしまうことが多いようです。そして、「原因がメンタルな問題かもしれない?」と本人が感じ、または周囲の人々が「以前とちょっと変わった?」と感じ本人がそれを指摘されてもメンタル系医療機関の受診についてはその敷居の高さを感じている方々が多く。躊躇してしまうことも多いのではないでしょうか?

このようなことから“ストレス”が心身に及ぼす症状を早期にとらえ対応するシステムの構築が必要であると考えられ、ストレスチェック制度が法制化されました。

 

ストレスチェック制度の概要

ストレスチェック制度とは平成27年12月1日施行された改正労働安全衛生法に基づいて規定された制度です。ストレスチェックとは労働者数50人以上の事業場において、産業医・保健師・衛生管理者などの事業場内産業保健スタッフまたは事業所から委託を受けた外部機関が労働者個人および事業所における集団のストレス状況を把握するための方法です。具体的な内容や方法は、厚生労働省労働基準局安全衛生部が作成した『労働安全法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』に記載されています。以下このストレスチェックの概要についてお話しいたします。

 

1)ストレスチェック制度の構成員

ストレスチェックを行う義務を背負うのは事業所(者)です。またストレスチェックを行う実施者と実施事務従事者が存在します。前者は医師、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師もしくは精神保健福祉士を指します。後者は実施者のほか、実施者の指示によりストレスチェックの実施事務に携わる者を指します。また当該事業所における人事権をもつ者は実施者にはなれません。そして、ストレスチェックを受検するのは労働者です。

 

2)ストレスチェック制度の流れ(図1)

ストレスチェックは、実施前に事業者による方針表明、衛生委員会での調査審議、労働者へのストレスチェックの説明と情報提供が必要となります。衛生委員会は改訂労働安全衛生法第18条に定められている事業者に設置が義務づけられている委員会であり、労働者の健康障害の防止や健康保持増進に係わる対策と意見を事業者に提言する機関です。

そしてストレスチェックが実施者によって行われます。改正労働安全衛生法においては、このストレスチェックをメンタル不調における一次予防ととらえています。個人的なストレスチェックの分析と同時に集団的分析を行うことで職場環境の改善を行うことも可能となると考えられています。しかしながら集団的分析については、現時点では努力義務となっています。ストレスチェックの結果は、受検した労働者のうち同意が得られた場合に限って、事業者に通知されます。また、面接指導が必要な労働者には、実施者から面接指導の勧奨が行われます。労働者はこれを受けて事業者に対して面接指導の申出を行い、面接指導が行われます。面接指導は医師が行います。必要に応じて専門医の紹介もこのときに行われます。面接指導の結果は事業者に報告され必要に応じて就業上の措置が実施されます。

これら一連のストレスチェックと面接指導の実施状況の点検と確認および改善事項の検討を実施者が行い、これらを踏まえて衛生委員会での再度調査審議を行い、次のストレスチェックに活かして行くことになります。

ストレスチェックと面接指導の実施に係わる流れを示した図

 

3)ストレスチェックの方法

厚生労働省のホームページにある労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルにはストレスチェックの例として職業性ストレス簡易調査票として57項目の質問とその分析法、そしてその簡略版として23項目の質問と分析法が記載されています。ただし、これはあくまでも一例であり、必ずこれを使用しなければならないものではありません。職場の特殊性などを考慮した質問を組み入れても構わないことになっています。ただし、「性格検査」を念頭においた質問や「希死念慮」「うつ病検査」を念頭に置いた質問は不適切であり、避ける必要があります。

ストレスチェックはこれまで行われている職場における一般健康診断とは切り離して行う必要があります。ですから一般健康診断の問診にストレスチェックの質問内容を組み入れたとしてもストレスチェックに代替することはできません。

 

4)制度の留意点

ストレスチェックは職場におけるメンタルヘルス失調に対する一次予防と位置づけられています。このため、検者となる労働者のうち、たとえばすでにメンタルの治療を行っている者などが受検しなかったとしても配慮を受けられます。また、質問内容や結果が検者である労働者のみならず、職場関係者に影響することもあり、実施においていくつかの留意点が挙げられています。

(1)事業者への留意点

ストレスチェック制度の実施責任主体は事業者です。よって事業者に対して多くの留意点を挙げています。

① 安心してストレスチェックを受検してもらう環境作りに努める。

これは受検する労働者(=受検者)を保護するためのものです。すなわち、ストレスチェックの結果は受検した労働者の同意がなければ事業者に提供できません。また、検査の実施事務に携わった者にも守秘義務が規定されています。

また受検結果が労働者や職場の状況を正確に反映されるように受検者自身の状況をありのままに答える事ができる環境整備に留意することを求めています。

② 受検者以外の関係者への配慮

ストレスチェックは受検者の所属する部署の責任者の人事労務管理・健康管理能力の評価指標として用いられる可能性があるため、それらの人々の不利益にならないような配慮が必要です。

③ 安心して面接指導を受けられる環境作りに努める。

面接指導の申出を行いやすい環境が整わないと、高ストレス状態にある労働者が放置されてしまう可能性があるので、労働者が安心して医師の面接を希望できる環境作りが必要です。

(2)実施者の留意点

実施者は、ストレスチェック結果および分析の保存管理を厳重にすることはもちろん、受検者の個人情報となりうるこれらの情報に対して守秘義務が生じます。

以上、ストレスチェック制度の概要についてご説明いたしました。次回以降当コラムにおいてストレスチェックの内容についての詳細をお話しする所存です。

(田浦内科クリニック 院長 杉山 厚)

ストレスチェックは「メンタルポート」へ!

労働安全衛生法の改正により、50人以上の事業所すべてにストレスチェックの実施が義務化されました。

ディー・クエストでは、従業員、企業担当者、産業医全員にとって使いやすい総合管理システム「メンタルポート ストレスチェックサービス」をご提供いたします。

サービスの詳細については、専用サイトをご覧ください。

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