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GovernanceQ【ガバナンス時評#8】SOMPOHDは「損保ジャパン」をなぜ監督できなかったのか

2023.11.13

子会社を監督する親会社の責任


金融庁が11月7日、SOMPOホールディングス(HD)に立ち入り検査を実施した。子会社の損害保険ジャパンが中古車販売大手、ビッグモーターによる保険金の不正請求を把握しながら、取引を再開。すでに金融庁は9月19日時点で損保ジャパンに対する立ち入り検査を始めており、今回、親会社の監督責任が追及されている格好である。

そこで、前回の#7に引き続き、この問題を改めて考えてみたい。

周知の通り、損保ジャパンの白川儀一社長は9月8日の記者会見ですでに引責辞任を表明しているが、SOMPOHDの櫻田謙悟会長兼グループCEO(最高経営責任者)は「(調査委員会の報告がまだなかった記者会見の時点で)辞任の可能性はない」としていた。しかし、今回の金融庁による立ち入り検査の結果次第では、櫻田会長の進退に関わってくるのは避けられないであろう。

そもそも、指名委員会等設置会社の親会社の取締役会は子会社に対してどのような責任を負っているのか。会社法第416条1項1号ホにはこうある。

〈執行役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備〉

つまり、SOMPOHDの取締役会は、子会社である損保ジャパンの業務が適正になされるかどうか、内部統制が機能しているかどうかをチェックし、不備があれば体制を整える義務を負う。しかも、白川社長はSOMPOHDの執行役(国内損害保険事業オーナー)である一方、櫻田会長は子会社、損保ジャパンの取締役でもある。

社外調査委員会の中間報告書にあるように、2022年7月の役員ミーティングを受けて損保ジャパンは、ビッグモーターとの取引再開を決定していった。これは第一義的には、損保ジャパンの白川社長の責任である。

しかし、子会社の中でなされた意思決定について「業務の適正」が図れていなかった点においては、親会社であるSOMPOHDの責任は免れない。つまり、グループCEOである櫻田氏も最低限、「自身にどの程度の責任があるか」を把握し、自覚する必要があったはずなのである。繰り返すが、櫻田氏は損保ジャパンの取締役でもあるのだ。

子会社が取引している会社に重大な問題があった場合、その対処について、親会社も含めて情報が共有され、さらに取締役会にあげられることこそ、「内部統制が効いている」ことの証左になる。しかし、日本の企業は往々にして「子会社の問題は子会社内部で片づけるべき」と勘違いしているように見受けられる。SOMPOHD・損保ジャパンにおいても、そうではなかったか。

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