DQトピックス
コーポレートガバナンス
Governance Q「いなば食品」今どきの”若者”についていけない企業のリスク【ガバナンス時評#18】
2024.05.30

発端は”時代錯誤”の新入社員向け社員寮
猫用おやつ「CIAOちゅ~る」やツナ缶「ライトツナ」などで知られるいなば食品で、新入社員が入社直後に大量退職したとの事例が報じられた。
『週刊文春』の報道によれば、その発端は「社員寮があると言われていたが、実際は驚くほどのボロ屋での共同生活」「募集要項よりも低い月給を提示された」など、待遇面での問題が発覚したからだという。
いなば食品は静岡に本社を置く1948年創業の水産物加工企業だ。ペット用のおやつが爆発的な人気を得たことで知名度も高まったが、報道が正しければ、会社の体質は古いままだったということなのだろう。
昭和の時代であれば、新入社員の寮が相部屋、というのも珍しくはなかった。高度成長期の地方出身者は学生時代から賄い付きの下宿先に住んだり、風呂なしアパートで暮らしたり、という生活状況にあるのも一般的な風景だった。
企業の社長の中には、古い世代になればなるほど、「給料は安かったけれど、会社が衣食住の面倒を見てくれたから、人並みの生活ができた」といった自身の体験を、今なお正しいものとして認識し続けている場合もある。
確かに、ネット上の写真で見る限り、いなばの社員寮は雨漏りがするなど「ボロ屋」と言われても仕方がないような古さを感じさせるが、経営者側は端から「若者は劣悪な環境に押し込んでおけばいい」などとでも考えていたわけでもないであろう。ちなみに、いなばのホームページには社長の稲葉敦央氏の《あいさつ》として次のような一文が書かれている。
続きはGovernanceQへ