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Governance Q ブラジル「改正独禁法」解説《後編》現地弁護士が教える改正のポイント
2024.08.14

レオポルド・パゴット(Leopoldo Pagotto):弁護士(ブラジル在住)
(前編から続く)ブラジルにおける競争法の最新事情について、国際法曹協会(IBA)贈賄防止委員会のアドバイザリーボードメンバーでもある、ブラジルのレオポルド・パゴット弁護士からの寄稿後編。
前回のブラジルの競争法改正のポイントと解説に引き続き、本稿では法改正を踏まえ、競争法専門家のパゴット弁護士は、企業の取るべき対策として「コンプライアンスプログラム」の導入と実施の重要性を強調している。以下は、その寄稿文を翻訳したものである。
カルテル損害の2倍補償には独占禁止法遵守の強化が必須《後編》
コンプライアンスプログラムの重要性
(前編から続く)このような変革を受けて、カルテル行為に関する審査は顕著に減少しているが、これは日本企業にとっては非常にプラスである。日本企業は、公正な競争を守り、反競争的慣行を回避し、結果的に違反時の罰則を最小限に抑える上で、コンプライアンスプログラムが極めて重要な役割を果たすことを理解するようになったからだ。コンプライアンスプログラムは、企業が独占禁止法や規制を確実に遵守するために綿密に作成された社内方針と手順から構成される。コンプライアンスプログラムは、法的、財務的、経営的、社会的評価といったさまざまな面で非常に重要なものである。
コンプライアンスプログラムが重要であるのは、企業が競争保護法を理解し遵守するためでもある。独占禁止法は複雑であり、かつ国によっても異なる。したがって、許される行動と禁止される行動の両方について従業員を教育することで、プログラムは効果的になる。これには、継続的なトレーニングの提供、明確な方針の実践、疑わしい行為の報告ルートの確立が含まれる。このような教育プロセスを経て、コンプライアンス文化を醸成することで、企業はカルテル形成や価格操作、市場分割など、競争を制限する慣行を防ぐことができる。
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