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内部通報
Governance Q【フランス内部通報者保護制度】現地弁護士が詳細解説《前編》
2024.08.27

パトリック・ティエバール(Patrick Thiébart): 弁護士(フランス在住)
いまやコーポレートガバナンスが健全に機能する前提条件とも言える存在となった公益通報(内部通報)制度。大手企業を中心に制度の整備・拡充が進んでいるものの、2024年5月21日に放送されたNHKの報道番組「クローズアップ現代」(“守られない通報者“ 内部告発を社会の利益に)によると、通報者の3割が「通報をして後悔した」という。
このような内部通報者に対する報復行為を懸念する声は日本に限ったものではなく、アメリカでは、5億5000万ドル(約850億円)もの社会保障年金が不当に支払われていたことを告発し、命を危険に晒されるほどの報復行為を受け、職を追われた元公務員の例もある(https://carvergriffith.com/)。内部通報制度本来の目的通りに機能させるには、嫌がらせや降格、左遷、最悪の場合は解雇(退職への追い込み)といった報復行為から通報者を保護する必要があり、それは公益通報者保護法(2006年施行)でも定められている。
日本では2022年に公益通報者保護法が改正されたが、企業の運用面では障害も少なくなく、内部通報制度がなかなか有効に機能していない現実は、本誌「Governance Q」でもお伝えした通り(下記URL参照)。日本の社会全体としては、内部通報制度の確立は道半ばというのが実情だ。
【特集】今さら聞けない「内部通報」全解剖
https://cgq.jp/category/special/whistleblowing
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