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北斎の「神奈川沖浪裏」と武志伊八郎信由の「浪に宝珠」
■ ある新聞記事
今年9月13日の朝日新聞夕刊に、「北斎の代表作そっくり」というタイトルで、北斎の「神奈川沖浪裏」(1831年頃作)が武志伊八郎信由の「浪に宝珠」(千葉県いすみ市の行元寺の欄間、1809年作)にそっくりだという記事が掲載されていました。確かに似ています。そして記事において、「うり二つなのは一目瞭然。初代伊八の『浪に宝珠』の宝珠を遠景の富士山に置き換え、小波の上に押し送り船を沿えると、北斎の「浪裏」になる。」という千葉県立高校の先生の見解が紹介されています。北斎の「浪裏」は「宝珠」の翻案である、ということでしょう。
■ 今なら炎上か
もし、北斎が今を生きていて「浪裏」を発表したら、SNSで模倣騒ぎが炎上していたのではないでしょうか。佐野研二郎さんがデザインした2020年東京オリンピックのエンブレムの著作権侵害騒動のように。葛飾北斎の名声は打ち消されていたかもしれません。
弁理士法人レガート知財事務所 弁理士
峯 唯夫 先生
主な経歴
1986年峯特許事務所開設、2011年特許業務法人レガート知財事務所に改組。
商標実務は「安全な使用」「ブランド価値の保護」の側面から、調査、使用方法の検討やアドバイスなどを含めたサービスを提供。
これまでに、商標委員会委員、特許委員会委員、意匠委員会委員(90年、13年委員長)、中央知的財産研究所研究員、新人研修講師(意匠担当)、
(財)知的財産研究所タイプフェイス委員会委員、特許庁意匠課「意匠ラウンドテーブル」委員、(財)生活用品振興センターデザイン保全登録審査委員、産業構造審議会意匠小委員会委員、中央大学法学部講師、日本商標協会副会長、等を歴任。
著作権法学会会員、デザインと法協会会長
主な著書
「サービスマーク」(有斐閣、共著)、「商標の法律相談」(青林書院、共著)、「不正競争の法律相談」(青林書院、共著)、「商標・意匠・不正競争」(青林書院)、「判例百選」(有斐閣)、「意匠法コンメンタール」(レクシス・ネクシス 編著)、「ゼミナール意匠法」(法学書院)、「設計図の保護」(パテント)、「私と大学との関わり」(パテント)、「デザイン保護雑感(デザイン産業の視点から)」(パテント)、「デザインによる知的資産経営」(発明・連載)をはじめとする専門誌の執筆・寄稿などの実績も多数。
現在の所属
弁理士法人レガート知財事務所