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DQトピックス

 
コンプライアンス調査

反社チェックはなぜ必要か?-調査事例と方法、外部調査委託先の選定ポイント

2020.06.23

    もくじ

    1.反社チェックはいつどんな時に行わなければならないのか?

    1)反社チェックの必要性―反社による被害を未然に防ぐために

    「反社チェック」とは、新規契約や既存の取引先、社員(重要な役職での新規採用など)、および株主を対象に、反社会的勢力との関係がある(または疑いがある)人物や組織がないか、取引開始前や契約(更新)前にチェックすることを言います。別名「コンプライアンスチェック」や「コンプライアンス調査」とも言われています。

    政府の指針では、「反社会的勢力による被害を防止するための基本原則」として、以下が定められています。

    組織としての対応
    ・ 外部専門機関との連携
    ・ 取引を含めた一切の関係遮断
    ・ 有事における民事と刑事の法的対応
    ・ 裏取引や資金提供の禁止

    組織として、しかるべき対応を実施することが原則とされています。多くの企業は、反社会的勢力との関わりがないことを企業ホームページや契約書に明記したり、従業員を雇用する際に署名させたり、などの対策を行っていますが、無論それだけでは不十分でしょう。万一、フロント企業と取引をしてしまった、あるいは、反社会的勢力の関係者とのつながりがある社員を採用してしまったなどが発覚した場合には、監督官庁から指摘・指導が入ることでしょう。その際に、反社チェックを行っていなかったとなると、厳しい処罰を受ける可能性があります。

    弊社、DQ反社チェックサービスでは、取引先に対して反社チェックを実施した以下のような事例があります。

    <例1>
■反社チェックの目的:新規取引先の調査
■調査対象:企業とその代表者
■調査結果:代表者の過去に脱税の容疑での逮捕歴があることが確認された。その脱税行為は、暴力団と共謀して行ったことだった。
■最終判断:反社会的勢力との関わり合いがあったことをが確認しされたので、今回の取引は見送ることとした。
*DQ 反社チェックサービスの「リスク検索サービス」を利用した調査
    <例2>
■反社チェックの目的:既存取引先の調査(背景:事前調査せずに取引を開始してしまった制作委託先X社とのやり取り業務連絡の中でにて、自社の発注担当者がX社の担当者によるの常識を外れた横柄な態度や個人的な関係を迫ってくるなどの一般企業間では起こりえないに無いことがあった。、自社の発注担当者がそれに違和感を抱いたことから上長に相談して、調査を実施)
■調査対象:企業とその代表者
■調査結果:X社の代表者は所謂「半グレ」と言われるグループの元幹部であり、従業員もその仲間で構成されている事が確認された。
■最終判断:X社との取引を解約した。
*DQ 反社チェックサービスの「健全性調査」を利用した調査
    2)どんな時に反社チェックを行うのか?

    企業は、どんな時に反社チェックを行うのか、DQ反社チェックサービスへの調査依頼事例からそのパターンを以下にご紹介します。

    【上場企業または上場を準備している企業】

    • 主幹事証券会社から既存取引先の定期的なチェックを指導されたとき
    • 上場の際、「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」を市場へ提示する事になるが、その裏付けをする為の調査
    • 第三者割当増資(株式の割当先・割当先の役員および株主が一切反社会的勢力と関りがないことを確認しなければならない)

    【新規取引先との契約および既存取引】

    • 新規取引先との契約をしたいが、事前に反社会的勢力との関係有無を調査したい
    • 新規取引先の過去の訴訟歴や経営者のバックグラウンドを把握したい
    • 既存の取引先に関して、暴力団関係系企業であるとの噂を聞いた時など

    【重要なポジションの新規採用】

    • 経営幹部として採用したい人物がいるが、採用前にコンプライアンス違反などがないかバックグラウンド調査をしたい
    • 前職での人物像の評判を知りたい

    2.反社チェックの具体的な方法とは?

    1) インターネット検索による反社チェック

    ネガティブ情報やリアルタイムな情報を収集するには、まずインターネット検索を行うことが最も適した方法と言えます。社内で簡単な反社チェックや情報収集を行う際にも手軽で容易な方法です。ただし、掲示板やSNSなど、インターネット上にはあらゆる情報がリアルタイムに拡散されています。その情報が信頼できるものかを判断するには、専門知識・豊富なリサーチ経験を持つ調査員の存在が必要不可欠となります。
    特にインターネット検索においては、逆 SEO 対策が施され発見しにくい情報でも見逃さない技術やノウハウを持って調査しなければなりません。調査経験値の少ない社内の担当者の判断に任せるだけでなく、外部の専門調査員に反社チェックを依頼し、調査品質を維持することも「組織としての対応」に欠かせない要素です。

    2) メディア検索による反社チェック

    新聞記事、地方新聞、雑誌、専門情報誌などのメディアが提供している情報はオープンなインターネット検索よりも信頼できる情報源です。そのため、社内で行う反社チェックでメディア検索を行っている企業は多いでしょう。メディア検索は、記事データベースの日経テレコンが国内で多く利用されています。定期的かつスピーディーな調査には向いていますが、メディア検索だけでは、調査範囲が非常に狭く、リスク回避度が低いと問題視されています。

    3) インターネットとメディア検索の併用(調査精度を高める広範囲での反社チェック)

    個人の犯罪への関与や組織的な不正・訴訟関連など網羅的かつ高精度な反社チェックが必要な場合に有効な方法です。
    主に、以下のような調査範囲で網羅的に情報を収集します。
    ・詐欺、窃盗、恐喝、傷害などの犯罪での逮捕
    ・重大な事故
    ・行政処分
    ・コンプライアンス違反
    ・その他ネガティブ情報(反社関連情報や過去のトラブルなど)

    4) 現地調査・インタビュー(ヒアリング)調査など、より高度な反社チェック

    新規取引先との契約などで、その企業の実態や評判などを企業所在地の近隣やその企業の元取引先へのインタビューなどを行い、反社会的勢力との関わりの有無についてより明確に調査する際にお勧めする方法です。

    5) 事案に応じて警察庁へ確認および相談

    警察庁では、「暴力団との関係遮断を図るなど暴力団排除活動に取り組まれている事業者の方に対し、契約相手が暴力団関係者かどうかなどの情報を、個々の事案に応じて可能な限り提供」 しています。しかし、警察庁がまだ把握しきれていない情報もありますので、警察庁に確認しただけでは安心できない場合もあることを念頭に置くことが必要です。

    3.反社チェックサービス・ツールの利用―外部調査委託先の選定ポイント

    反社チェックの委託先を選定する際は、以下のポイントを考慮し、自社のニーズに合うサービスを提供しているか、信頼できるか判断の上、委託することをお勧めします。

    • サービス体系(料金体系など)
      調査会社にはさまざまなサービス体系とそれに応じた料金体系があります。簡易的な調査から現地調査を含めた高度な調査まで幅広い調査項目の中から、自社の条件に適うサービスを選ばなければなりません。

      定期契約では、利用しなくても費用が発生することが多いので、費用対効果を考慮の上、調査頻度など自社に合うサービス体系かの説明を十分に受けることが必要です。利用していないのに費用が発生することが多い定期契約でも、利用月分のみ費用が発生するサービス体系を提示している調査会社もありますので、しっかりと情報収集の上、選定すべきでしょう。

    • 反社チェックの調査品質
      低価格を重視するあまり、調査項目がメディア検索のみだったり、調査結果の管理に手間がかかったりと調査の品質が劣る場合があります。調査の実績および専門的な調査スキル(検索ノウハウ)を有する調査員による調査を行っているかを明確にし、品質を維持することが必要です。
    • コストと管理の手間(社内の負担を軽減)
      社内で反社チェックを行う場合、調査実務の作業、調査対象のデータ整理および情報精査の作業まで担当者の業務負担は想像よりも重くなります。
      外部に委託する際にも、コストだけでなく、自社で管理する手間をどのぐらい削減できるかが、委託先選定の重要なポイントです。低価格なインターネット検索やメディア検索の調査サービスは、検索した結果の情報をそのまままとめただけのレポートが提出され、それを社内で精査する業務が発生し、結果的にあまり業務負担を改善することができず、実際は割高なコストをかけてしまう、という事態を招くことがあります。価格とサービス内容の両方をきちんと見さだめ、情報のノイズが除去され精査された調査報告書が提出される調査サービス会社に依頼した方が良いでしょう。

    4.まとめー反社チェックはコンプライアンス重視に必要不可欠

    反社か否か―顧客を知る、取引相手を知る、社員を知ることは重要です。インターネット上での情報収集およびSNSの普及により、企業を評価する価値観が変化し、コンプライアンス重視の経営環境下では、レピュテーションリスクへの注目度がますます高まることでしょう。

    DQ コンプライアンス調査では、企業が抱えるリスクを軽減させるために、インターネット検索(簡易企業調査)から風評調査(詳細企業調査)までニーズに合わせた反社チェックをご提供しています。お問い合わせやご相談は無料で承りますので、是非ご相談ください。

    <参考情報>反社チェックー調査の前に、押さえておくべき政府指針・反社活動形態

    反社会的勢力に関する政府指針

    2007年6月、政府から「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」が発表されました。この指針では、反社会的勢力との関係遮断は、最終的に企業防衛の観点からも必要不可欠の要請だとしています。また、「反社会的勢力による被害の防止は、業務の適正を確保するために必要な法令等遵守・リスク管理事項として、内部統制システムに明確に位置付けることが必要である。」と企業の対応義務を明確に示しています。

    この政府指針を踏まえ、2011年10月をもって、47 都道府県において「暴力団排除条例」が施行されました。これにより、あらゆる業界・業種にて反社会的勢力排除のための対策が実施されています。

    しかし、反社会的勢力との関係遮断の強化を施す対策が拡充するにつれ、反社会的勢力はその活動形態を変容させ、資金源の確保のためにその実態をも不透明化させ、巧妙な手口で社会に潜み続けています。

    21世紀における反社会的勢力の活動形態・資金源

    上記の2007年の政府指針では、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人」を反社会的勢力として明記しています。2020年現在は、主に以下のような集団が反社会的勢力とみなされています。
    ・暴力団の構成員、準構成員、共生者、半グレ集団
    ・暴力団関係企業(フロント企業)
    ・総会屋、社会運動等標榜ゴロ、特殊知能暴力集団等
    ・その他、政府が定義した反社会的勢力(暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求など)

    2019年は、オレオレ詐欺による多額な被害だけでなく、芸人の闇営業など多くの反社会的勢力に関する問題が表面化しました。そして、安部晋三首相主催の「桜を見る会」に、「反社会的勢力」の関係者が参加していたという疑惑までが浮上し、2019年12月10日、政府は、野党議員の質問主意書への答弁書として「(反社会的勢力は、)あらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難」とする閣議を決定しました。この政府決定には批判が集中しましたが、これにより、さらに「反社会的勢力とは?」の定義が揺らぎ、その実態の曖昧さが浮き彫りになりました。

    したがって、時代の流れを敏感に感知しながら活動形態を変異させる反社会的勢力に対して、一企業が社内調査で顧客や委託業者、または社員・採用予定者が「反社会的勢力」との関わり合いがないかを見極めるのは、非常に困難な社会状況になっています。

    反社会的勢力の主な資金源は、特殊詐欺、みかじめ料などのしのぎ活動、違法薬物売買、窃盗、ヤミ金融、マネーロンダリング、裏カジノや賭博、コピー商品のネット通販などの違法行為だけでなく、イベント関連・IT・不動産・風俗店経営・運送業など様々なフロント企業としても、私たちの社会に密かに蔓延しています。そのため、事前調査なしに新規取引先と契約を締結してしまうと、反社会的勢力と関係を結ぶことに繋がる可能性があります。

    フロント企業(企業舎弟)とは?-見抜き方と被害・リスク

    フロント企業とは何でしょうか?警察庁では、フロント企業を「暴力団が設立し、現にその経営に関与している企業又は暴力団準構成員等暴力団と親交のある者が経営する企業で、暴力団に資金提供を行うなど、暴力団組織の維持、運営に積極的に協力し、若しくは関与するもの」と定義しています。簡潔に言い換えれば、反社会的勢力が裏で関与している企業・組織団体であり、暴力団などへ資金を提供している企業となります。よって、フロント企業とは知らずに取引を行っていた場合でも、「知らなかった」では済まされず、反社会的勢力に資金提供しているとみなされ、批判の的となり、社会的信頼を失うことに繋がります。

    では、フロント企業だということを見抜くには、どうすれば良いのでしょうか。フロント企業は、一般企業と同じように経営されていますので、見抜くのは容易ではありません。また、経営者のみが反社会的勢力との繋がりがあり、その他の社員は一般人であるケースも多くあり、取引のリスクを軽減するには、企業や経営者を調査する「反社チェック」を行うことが必要となります。

    フロント企業と取引を行っていた場合に、抱えるリスクや被りうる被害は、以下のようなことが挙げられます。

    • 物品購入やリース契約を要求(応じるまで要求・威圧行為が始まる)
    • 不当な請求(賠償金と称して脅し文句で請求してくるケースなど)
    • 会社乗っ取り被害(巧みな契約により、知らずのうちに会社を乗っ取られているケースなど)
    • 条例違反リスク(監督官庁から指導を受ける)
    • 社会的評判を下げるリスク(風評被害など)
    • 倒産リスク(反社との関わりが表面化した場合に融資を打ち切られるケースなど)

    【参照元】

    法務省:http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji42.html
    警察庁:https://www.npa.go.jp/bureau/sosikihanzai/bouryokudan.html
    DQ 反社チェックサービス:https://www.d-quest.co.jp/intelligence/lp1/

    株式会社ディークエストホールディングス
    DQ コンプライアンス調査事業部

    20年以上の反社チェックの実績を有し、総依頼件数は30万件を超えています。
    上場企業を中心に、中小企業から弁護士法人まで、あらゆる規模・業種より信頼・支持をいただき、専門調査員による精度の高い反社チェックサービスをご提供しております。

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