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コーポレートガバナンス
GovernanceQ【ガバナンス時評#3】ガバナンスを機能させるのは“不断の努力”でしかない
2023.09.19

「レジェンド問題」日本企業に寄せられた会計不信
20世紀末、相次ぐ金融機関の破綻を受け、日本は会計・監査における国内外での信頼を失った。そこで国際的な対応として生じたのが「レジェンド問題」である。
日本企業が国際マーケット向けに公表する英文のアニュアルレポートに添付される財務諸表に対して、日本の監査法人が表明する監査意見に対する不信感から、国際ネットワークの5大会計事務所からの要請で、監査報告書に、警句としての“追加文”(レジェンド)を付けることが義務付けられたのである。その一文は次のようなものだった。
〈この財務諸表は日本の会計基準に則って作成されており、我々が行った監査は、日本の監査基準によるものである〉
つまり、この警句の意味するところは、「この財務諸表は日本の信頼性の乏しい会計基準に従って作成されており、質の悪い監査基準に従って行った監査であることから、十分に注意して利用されたし」ということだ。日本国内でしか通用しない財務諸表であり、全く信頼できない監査結果であると自ら付記しなければならないのであった。確かに、1997年に発生したアジア通貨危機の影響もあったが、日本の会計・監査業界にとって、これ以上の屈辱はなかった。