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Governance Q 髙田明・ジャパネットたかた創業者「息子に社長を譲って会長に就かなかった理由」【新春インタビュー#5前編】
2025.01.06

各人さまざまなバックグラウンドを持つ“賢者”に、自らのガバナンス論を語ってもらう本誌「Governance Q」の2025年新春連続インタビュー。元日の今回は、あの甲高い声でお茶の間でお馴染みだったジャパネットたかた創業者の髙田明氏。髙田氏は10年前の15年1月、当時まだ30代だった長男の髙田旭人(あきと)氏に社長職を譲った――。規模の大小を問わず、サクセッションプラン(後継者育成計画)に悩む経営者が多い中、会長に就くことなく、自らが産み育てた企業を去ったのは、どういうわけなのか。前編では、その事業承継への思いを語る(髙田氏がコーポレートガバナンスを語る後編はこちら)。
「今」を生きていたら息子が社長を継いでいた
ちょうど10年前の2015年1月、ジャパネットたかたの代表を息子の旭人(ジャパネットホールディングス代表取締役社長兼CEO)に譲って退任しました。
昨今、事業承継の問題は特に中小企業やファミリー企業が抱えている大きな問題と言われているそうです。そういう社会的背景の中で、ジャパネットたかたの事例をメディアで取り上げてくださるのですが、僕の場合、事業承継を上手くやろうと思ったことはまったくないのです。
なぜスパッと退任したのかと聞かれても、正直に言って「普通にやっただけです」としか言えません。事業承継が上手くいって、企業としても成長できたとすれば、たまたまですよ。
僕という人間はかなりシンプルで、あまり先のことを考えたり、過去のことに悩んだりはしないタイプ。「今」という瞬間を生き続けているだけ。その積み重ねの中で、海外で仕事をしたり、カメラ屋さんをやったり、僕自身の生き方をしてきました。
何かに取り組む時には常に「今を生きる」という言葉を大切にしてきました。これ、お釈迦さまも仰っているんです。過去を想うな、未来を願うな、今を生きなさい――。だから僕、お釈迦さまになったのかなと……。(笑)
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