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コンプライアンス調査

プロは見た!反社チェックで「防げたはずのインシデント」

2021.01.12

今回の事例は、実在のとある上場企業が、受付業務を人材派遣サービスに委託していたところ、その委託先の企業が暴力団と深い関係にある事が発覚したケースです。
人材派遣サービスを依頼するまでにいたった経緯や発覚したきっかけなど、実話をもとにご紹介します。

もくじ

1.機会「ちょっとしたサービスの委託だから・・・既存の取引先だから・・・と、反社チェックを怠ってしまった」

女性社員に向けた福利厚生の一環として料理教室を開いた際に、クッキングインストラクターを派遣してもらった企業(以下A社とします。)の代表者から、「今度は受付スタッフの派遣をさせてほしい」との提案がありました。
担当者は料理教室に派遣してもらったインストラクターが優秀であり、女性社員からの評判も良かった事と、たまたま新しい受付スタッフの採用を考えていた時期だったため、この提案をすんなりと受け入れてしまい、受付スタッフの派遣契約をこのA社と締結してしまいます。

2.インシデント「暴力団との関係は、どんなきっかけで発覚するか分からない」

その後、A社から派遣されてきた受付スタッフは、何事もなく業務に従事していましたが、ひょんな事がきっかけでA社は暴力団と深い関係がある企業である事実が発覚しました。
そのきっかけとは、A社の代表者の評判を、当該企業の大株主がたまたま知っており指摘を受けた、というものでした。

それまで、料理教室のインストラクター派遣の際にも、受付業務委託契約の際にも反社チェックは行っておらず、担当者は、まさかクッキングインストラクターや受付スタッフなどを派遣する企業が、暴力団の関連企業であるとは夢にも思わなかったそうです。
慌てて反社チェックを実施したところ、A社の代表者は、暴力団の共生者であるとの情報が確認されました。

その後、顧問弁護士を通じて同契約を早急に解約し事なきを得たそうですが、もしこのまま気が付かずにいた場合は、自社の営業秘密やインサイダー情報がA社と関係が深い暴力団へ漏洩していた可能性も否定できない状態にあったと言えます。(企業によって違いがありますが、受付スタッフは「誰が」来訪したかを知り得る立場にあり、営業秘密等の類いを耳にする機会も少なくありません。)

3.検証:「どんな反社チェック体制なら防げていた?」 弊社調査担当者の意見

以下は日常的に不正調査や反社チェックを行っているCFE(公認不正検査士)資格保持者の弊社調査員の意見です。
通常、反社チェックと言うと真っ先に「新聞記事検索」を思い浮かべる方が多いと思います。
確かに、新聞記事のデータベースを使って、過去に逮捕記事があるかどうかを確認する調査は重要な調査の一つです。しかしながら、対象人が過去に何かしらの犯罪で逮捕されていなくても、反社会的勢力とは無関係であるとは限りませんのでWeb検索調査も並行して実施する事をお勧めします。

Web検索結果では、対象人が反社会的勢力と親しい関係にある、もしくは共生者であるといった重要な情報が時として確認される事があります。この様な情報は公然の秘密となっている事が多いにもかかわらず、新聞には掲載されていませんので、並行して実施する事が如何に重要であるかが分かります。
※新聞記事検索だけでは、重要な情報の抜け落ちが生じる事があります。

以下に新聞記事検索、及びWeb検索の、それぞれの特徴(長所・短所)を紹介します。

また、ありがちなのが、担当者の個人判断で調査を実施したり、しなかったりする体制です。

担当者に一任の「疑わしい企業や人物だけ調査を実施する」という曖昧な基準を設けている企業が、いまだに多いことに危機感を持っています。

殊に、ジョブローテーションの担当者の個人的見解では、今回紹介した事例の様に抜け落ちが生じる可能性が十二分にありますので、「契約や取引を開始する前には必ず(100%)調査を実施する」というフローを設ける事が非常に重要なのではないでしょうか。

昨今、暴力団の構成員数は減少傾向にありますが決して犯罪が減少しているという事ではありません。また、近年では「半グレ」と呼ばれている不良グループや犯罪集団が増加しており、健全な企業を装って企業に忍び寄ってくるケースも多く見受けられています。 今回、紹介させていただいた事例の様に巧妙に企業に近づいてくるケースでも、普段からしっかりとした調査をしていれば、事前に回避できる場合が殆どです。是非、防衛手段としても、企業責任としても「機能している反社チェック体制」を構築していただきたいと思います。

【参照元】

法務省:http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji42.html
警察庁:https://www.npa.go.jp/bureau/sosikihanzai/bouryokudan.html
DQ 反社チェックサービス:https://www.d-quest.co.jp/intelligence/lp1/

株式会社ディークエストホールディングス
DQ コンプライアンス調査事業部

20年以上の反社チェックの実績を有し、総依頼件数は30万件を超えています。
一部上場企業を中心に、中小企業から弁護士法人まで、あらゆる規模・業種より信頼・支持をいただき、専門調査員による精度の高い反社チェックサービスをご提供しております。

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