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コーポレートガバナンス

GovernanceQ 【油布志行×八田進二#1】金融庁NISA導入局長が語る「“稼ぐ力”を高めるガバナンス」

2024.02.01

八田進二・青山学院大学名誉教授が各界の注目人物と「ガバナンス」をテーマに縦横無尽に語り合う大型対談企画。シリーズ12回目のゲストは金融庁総合政策局長の油布志行(もとゆき)氏。1989年、旧大蔵省(財務省)入省の油布氏は2004年から4年間、OECD(経済協力開発機構)に出向。帰国後、体得したガバナンスの知見を活かしてスチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コード策定に事務方として尽力した。最近では「資産運用立国」の確立に向け、資産運用会社の運用力を上げるプランの策定に関与。NISA導入など、個人投資家の資金を日本企業に振り向ける仕掛けづくりを通じ、日本企業の稼ぐ力の底上げに携わっている。そんな油布氏が考えるガバナンス論とは――。

ガバナンス後進国から最先端のOECDへ


八田進二 油布さんは1989(平成元)年4月の旧大蔵省入省ですね。まさにバブル最盛期から日本が真っ逆さまに落ちていく過程を、大蔵省、財務省そして金融庁に所属されて経験されました。

油布志行 そうです。入省した年の暮れ、大納会まで日経平均はウナギ登りでした。ご存知の通り、12月29日の大納会の日、過去最高の3万8915円を付けるわけですが、年が明けて大発会の日の終値は前日比200円安。例年、大発会の日はご祝儀的に株価が上がっていたのが、この年は下がった。私自身、「あれ?」とは思ったものの、明日か明後日にはまた戻るだろうと楽観視していました。実際、この時のお正月の新聞には「日経平均10万円」を達成するのはいつかといったような特集が組まれていたくらいです。まさかそこから35年近く、一度も3万8915円に届かない事態に陥るなどということは想像できませんでしたね。

八田 当時は多少株価が下がっても、1~2年で日経平均10万円を達成すると多くの人が本気で考えていましたよね。

油布 バブルによる弊害は非常に深刻なものだったので、是正する必要があったことは間違いないのですが、日本経済を長期にわたって停滞させてしまったのは、政策サイドや行政の力不足だったと私自身、忸怩たる思いがあります。個人的な気持ちとしては、現役でいる間に公務員1年生だった時の日経平均3万8915円に回復する日が来てくれることを願っているのですが、さてどうでしょうね。

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