DQトピックス
Governance Q 企業担当者を悩ます「リスク情報収集」の死角
2024.05.30

「仕事とはいえ、パソコンに向かい合ってネット上で関係先のリスク情報をチェックするのは、身心ともに疲れ果ててしまう」――。あるメーカーで与信管理を担当する中堅社員の偽らざる本音である。
「情報を制する者は戦いを制する」と説いたのは古代中国の兵法家・孫氏だそうだが、ありとあらゆる情報がネット空間に氾濫する現代。間諜や斥候を繰り出して相手の動きを察知する肉弾的な情報収集術しかなかった2500年前とは異なり、現代の企業戦士は“生の情報”は言うに及ばず、場合によっては、情報収集のために日がな一日、パソコンあるいはスマートフォンのモニターに対面することを余儀なくされる。
しかも、誹謗中傷を目的としたフェイクニュースから、マスコミがいまだ掴みきれていないビッグニュースの先触れとなる情報まで、ネット上には玉石混交の情報が交錯している。そんな情報の洪水の中から、戦いを制する“情報の欠片”を掬い上げるのは容易でないどころか、先の与信管理担当者の言葉の通り、心身ともに憔悴してしまう。
とはいえ、ウェブでのリスク情報の収集は避けて通れない。むしろ、リスク情報収集の一丁目一番地こそ、ネット空間なのである。それでは、徹底した情報収集と、情報収集の手間暇の省力化というジレンマはどうやって解消したらいいのか。
入手者の主観によって左右される「定性情報」
「情報には『定量情報』と『定性情報』の2種類がありますが、リスク情報についても同様で、損益計算書(P/L)や決算報告書といった定量情報を収集できれば、リスク判断は格段に容易くなります。しかし、上場企業ならともかく、非上場の関係先の場合、正確な財務諸表を入手するのは非常に困難です。それゆえ、リスク対策のためには、経営状況や営業戦略、技術情報をはじめとする定性情報をいかに集めるかがカギになります」
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